近年の美容医療市場において、最も成長が著しいカテゴリーの1つが「メンズボトックス」です。都内の美容皮膚科クリニックの院長に話を伺うと、5年前と比較して男性の患者数は3倍以上に増加しており、その中でも額のボトックスは、ヒゲ脱毛に次ぐ人気メニューとしての地位を確立していると言います。かつて美容医療は、一部の悩みが深い人や、極めて美意識の高い人のためのものでしたが、現在は30代から50代の一般的なビジネスマンが、身だしなみを整える感覚で受診するケースが大半を占めています。院長は、この変化の背景に、SNSの普及や動画コミュニケーションの増加を挙げています。自身の顔を客観的に見る機会が増えたことで、これまで意識していなかった「怒っていないのに不機嫌そうに見える」額のしわを改善したいというニーズが顕在化したのです。最新の傾向としては、以前のような「完全にしわを消してフラットにする」仕上がりよりも、「表情の変化に違和感がない程度にしわを薄くする」というナチュラル志向が強まっています。これは、仕事のパフォーマンスを最大化したいというビジネス上の要請でもあります。また、使用される薬剤についても、抗体ができるのを防ぐために不純物を極限まで取り除いた高純度なボトックスの使用が一般的になり、長期的な継続を前提とした安全性が重視されるようになっています。さらに、メンズ専門クリニックの増加により、男性が周囲の目を気にせずに通えるインフラが整ったことも、需要を後押ししています。院長によれば、男性は一度効果を実感すると、理論的に納得した上でリピーターになる確率が非常に高く、美容を「趣味」や「贅沢」ではなく、歯の定期検診や散髪と同じ「衛生・管理」の一環として捉えるようになっているとのことです。また、額のボトックスと同時に、肌の弾力を高めるレーザー治療を組み合わせるコンビネーション治療を希望する方も増えており、よりトータルな若返りを目指す傾向が見られます。美容医療は、もはや性別を問わず、自分自身のコンディションを最高な状態に保つための合理的なライフスタイルの一部となりました。額のしわを1つ消すことが、その人の表情を明るくし、社会的なコミュニケーションを円滑にする。そんなポジティブな変化を提供できることが、現代の美容医療が提供する真の価値なのだと、院長は力強く語ってくれました。
美容皮膚科医に聞く現代男性の額ボトックス需要と最新の傾向